禅都お宿の物語 最終話 (1 / 3)

 6月29日

 宿の大女将、キク殺害の報を聞いてレポーター魂を燃やしたメグ・ハマーが、みやびへとインタビューに向かっていた。

> ブリタニア☆ウォッチ「禅都のお宿で殺人事件が!」 07.06.29

 インタビューを受けたみやびの来訪者達がそれぞれ犯人の見解を述べる中、そのうちの一人が新事実を教えてくれた。
 当日は禅都の南で釣りをしていた食事処「こく」の店主ヤスケは、なんとなく犯人の容疑から外されていたのだが、このたびの証言で動機があるものとして挙げられた。
 まずヤスケは、みやびに食材の卸しをしていたのだそうだが、キクにはいつも代金を値切られていたのだそうだ。また、ヤスケは幼馴染であったキクに昔から恋心を抱いていたのだそうだが、キクからは恋愛対象として見てもらえず、その憾みがヤスケに有ったのではないか、というのである。


 6月30日

 様々な憶測が飛び交う中、大女将キクの葬儀が遺体不在のまま執り行われた。
 そのとき参加していた匿名の冒険者から提供された手記がBNNから公表されている。

> BNN-ローカル 「ある旅の者の手記」 07.06.30

 そしてこの記事の最後には禅都の宿みやびから営業再開の案内が載せられていた。

 当日、22時から営業再開―。



 6月30日 21時55分 禅都の宿みやび

 この宿を懇意にしている人たちと、知らせを聞いてやってきた人たち。
 営業再開において、見たかったのはみやびの従業員達の笑顔だった。
 しかしそれを待ち望む私達の目の前に現れたものは、凄惨な光景だった。

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 私たちを出迎えたのは、大量の蛇、ヘビ、へび!!
 館内のいたるところから沸き立つヘビに、禅都の宿は瞬く間に埋め尽くされた。
 そこに宿の外からやってきた若女将アヤと女将ルリは、この惨状を見て唖然とした。

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 番頭のハチベイも続いて宿へとやってくる。アヤがこの惨状にハチベイをすがると、ハチベイが口を開いた。

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Hachibei: この間は、まんまと騙されたが、今日こそはあの扇をいただくぜ

 突然の言葉に困惑するアヤとルリに、ハチベイは「巨大な力を」とアヤたちに家宝の扇を渡せと迫る。
 扇と聞いてアヤが大女将キクの遺体に扇が残されていたことを思い出すと、ハチベイが語りだした。

Hachibei: そうだ。俺が殺ったんだ
Hachibei: 大女将は最後におまえ達と宿のことを心配していたな


 一連の事件が、ハチベイの仕業だったことが発覚する。
 6月16日。ガマンの肉を調達するように言われたアヤは、マチに勧められて、ハチベイや大勢の客と共に勇島の海岸へとやってきた。
このとき大量に出現したヘビの大群は、ハチベイがアヤの誘拐を企ててのことだった。
しかしその陰謀は、大勢の客にヘビを掃討され、マチも駆けつけてきたことから失敗する。
 6月23日。大女将キクの殺害は、ハチベイが1階に飾られていた贋作を持ち出したところをキクに目撃され、追いかけてきたキクにこれが偽物であることを知らされたハチベイは、その場でキクを殺したのである。

 それまでハチベイが自ら扇に手をかけられなかった理由は、扇に結界が張ってあったからだという。
しかし、アヤが若女将になってからルリとマチによるアヤへの諍いが、扇の結界にひずみ作って、そこにハチベイが魔の手を伸ばしたのである。

Hachibei: 女将と若女将、いい感じだったぜ

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Ruri: もうじっとしてなんかいられないわ

 ルリが階段を駆け上がった。アヤもあとに続き、ハチベイがその後を追う。

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 3階に飾ってあった家宝の扇は、ルリの手の中に収まった。
 最後に部屋に入ってきたハチベイが扇をよこせと要求する。
 そのハチベイとルリの間にアヤが身を呈して立ちはだかった。

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 アヤがハチベイの腕を押さえると、ルリに逃げてと叫ぶ。
 ルリは少し戸惑ったが、扇を抱えるとこの部屋を飛び出した。

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 必死にハチベイを抑えるアヤも、ハチベイに簡単に突き放されてしまった。

Aya: 女将が危ないわ!
Hachibei: 待て!

 アヤはすぐに立ち上がると、部屋を駆け出していった。その後を追うハチベイ。
 一同は宿の外へと飛び出した。

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